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姉、親友、部下・・・ラインハルトを取り囲む人々

帝国キャラ編

結局、ラインハルトにとって姉のアンネローゼとは何であったのか。

おそらく、急逝した母親の顔を知らないラインハルトにとって、実質的に姉は母親以外の何者でもなかったのではないだろうか。

そして、妻の死と共に彼の父親も精神的に死んでしまっていたので、彼にとって本当に家族とよべるのは、キルヒアイスと出会うまでは、アンネローゼだけだった。

「彼が求めれば、どんな時でも姉は来てくれた。(略)彼は彼のつごうのいいときに姉を呼びつづけ、姉はそれに応えつづけた」(第8巻)という。

幼き日のラインハルトの心を満たしていたのは、そんなアンネローゼの無償の母性愛だ った。それを奪われたからこそ、彼は迷わず立ち上がったのだ。

また、一方のアンネローゼの方でも、そんな弟の心情を知り抜いていた。

彼女は、目の前の敵を倒していくことしか知らないラインハルトのことを危うく思い、親友のキルヒアイスに見守り役を託したのだ。

ラインハルトはあまりに純粋で真っすぐだ。ただ単にそれだけなら体制にとって毒にも薬にもならないが、彼の場合、社会全体に変革を起こせるだけの力量があった。こういった人格は両刃の剣と同じである。価値観の異なる社会と衝突を繰り返して、それを超克してしまうか、自滅してしまうかのどちらかの選択しかありえないからだ。

だから、脇目もふらず突き進む性格のラインハルトを愛し、温かく見守ってやるアンネローゼとキルヒアイスの存在が、この上もなく重要なのである。

もし、この2人の目が行き届いていなかったら、彼は自らの力量の限度を超えた挑戦を行い、変革を嫌う社会的圧力によって早期にその芽を摘み取られていたかもしれない。

人間の持った生まれた本能なのか、大多数の人々は、出る杭の頭を叩いて平均化しようとする。現状に安住する人々は、既成の価値観を壊して自分たちの安寧を脅かしかねない人間を、もっとも恐れるのである。

その点からすると、ラインハルトのような人間は、どう見ても普通の人々の憎しみを買い、袋叩きにあうタイプである。

誰よりもラインハルトのことをよく知るアンネローゼは、そのことを見越していたに違いない。もしアンネローゼがその危険性を察知して、頼れる参謀役(キルヒアイス)に見守り役を託さなかったら、果たしてラインハルトは覇道を成就できただろうか?

ここに必然でもあるが同時に幸運でもある要素を見出すことができるのだ。

いや、アンネローゼとキルヒアイスだけではない。

ラインハルトは実に優秀な補佐役に恵まれていたといえる。キルヒイス亡き後は、類い稀な知性と人格をもつヒルダがその後継者に近い存在になった。

そして、ラインハルトの覇道の成就を陰の面から支えた、公益の権化にして謀略の達人でもあるオーベルシュタイン。

また、彼の戦いの両翼を担った、勇気と人格と用兵の手腕において傑出した逸材であるロイエンタールとミッターマイヤー。

もちろん、その他大勢の諸将たちも見過ごすわけにはいかない。

むろん、ラインハルトにそれらの人材を発掘する眼力と、部下から慕われるだけの人徳があるからこそなのだろうが・・。

次回からは、ラインハルトと共に歩んだそんな人物たちを見ていこう。

ラインハルトと帝国軍の諸将たち――名提督列伝

帝国キャラ編目次 http://anime-gineiden.com/page-63

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