オーベルシュタインの功績と謀略の数々
帝国キャラの中で真に非凡かつ変人と言えるのは、ラインハルトとオーベルシュタインだけではないだろうか。
他はいかに有能・非才といえども、しょせんは常識の範囲内の話である。
言うまでもなく、オーベルシュタインがラインハルト陣営に加わったのは、「冷徹なる義眼」(OVA8話)からだが、彼がその手腕を存分に発揮し始めたのは「リップシュタット戦役」の頃からである。これ以降の彼の権謀術数は枚挙にいとまがない。
列挙してみよう。
1・レンテンベルク要塞戦にて捕虜にしたオフレッサー上級大将を、無傷で貴族連合軍に送り返すように提案。彼を裏切り者と疑った貴族側に殺させ、相互不信の種をまいた。
2・副官フェルナーの部下ハウプトマン少佐(*1)を貴族側に潜入させて内部の情報収集にあたらせ、盟主ブラウンシュヴァイク公からその忠実な右腕であるアンスバッハを切り離し、最後には内乱を扇動してガイエスブルク要塞主砲室を占拠させた。
3・ヴェスターラントへの核攻撃を黙認するようラインハルトに進言。その残虐な大量虐殺の様子をビデオ撮影し、帝国全土に対する政治宣伝に利用した。
4・ラインハルトがキルヒアイスの死に精神的空白状態に陥っている間、諸将に「リヒテンラーデ公への逆撃」という行動目的を与え、ラインハルト独裁体制の確立に寄与した。
以上が「第1期」での彼の活躍である。
次からは、帝国が同盟を敗北させた後の話になる。
5・「ヤン・ウェンリーとメルカッツの両者を同時に処断する方法を卿に教えよう」とレンネンカンプの名誉欲を利用して暴走を使嗾し、同盟完全併呑の口実を作り出した。
6・ロイエンタールに私怨を抱くランクが、彼を陥れようと策動するのを黙認した。(*2)
7・国家的陰謀の首魁であるルビンスキーを、地道な捜査で逮捕した。
8・ラインハルト崩御の時期を利用して、地球教徒をおびき寄せ、その根絶に成功した。
以上が主なものである。
これらの活躍をみると、オーベルシュタインが新王朝の創出とその土台固めに尽くした新帝国随一の功臣であることは疑いない。
彼は、新王朝の礎を揺るがしかねないテロの源泉である地球教徒を根絶するために、ラインハルトさえも公益に利用した。彼でなければ到底思いつかないウルトラC的手法だ。
この他にも、彼は政戦両面で数多くのアドバイスをラインハルトに対して行い、カイザーをして次のように慨嘆させている。
「余はオーベルシュタインを好いたことは一度もないのだ。それなのに顧みると、もっとも多くあの男の進言にしたがってきたような気がする」(OVA104話)
オーベルシュタインを嫌う諸将たちも、彼の功績だけは認めないわけにはいくまい。
(*1)OVAオリジナルキャラ。彼の活躍もオリジナルエピソード。
(*2)結果としてロイエンタールは反逆に追い立てられ、新王朝から排除される形となった。野心家の彼を危険視していたオーベルシュタインが、消極的にその排除を使嗾したという見方もできる。
ラインハルトと帝国軍の諸将たち――名提督列伝
帝国キャラ編目次 http://anime-gineiden.com/page-63
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