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ロイエンタール、哀しき野心家

帝国キャラ編

ラインハルト摩下の将星にあって唯一、反旗をひるがえしたロイエンタール。

だが、言うまでもなく、彼は謀反に追い立てられたのだった。彼に私怨を抱くラングがルビンスキーと組んで悪質な噂をばら時き、地球教がウルヴァシー基地に立ち寄ったカイザーを襲撃してロイエンタールの仕業に見せかけ、さらにその調査を命ぜられたグリルパルツァーが自らの栄達のために真相を隠して反逆に乗じようとした。

こうして周囲の害意ある連中から反逆を使喉されたのだが、彼自身はあまりに誇り高いため、自分が生け賛として捧げられた事実を認めることも、また無実の身でカイザーに卑屈に謝罪することもできなかった。彼の務持が選択できる唯一の道が、「自らの意志でカイザーに反旗をひるがえすこと」だったのだ。

だが、そもそもロイエンタールに野心家として資質が備わっていたことは否めない。彼は本来的に他人の風下に立てる男ではなかった。

ロイエンタールが最初にその野心の片鱗をのぞかせたのは、ミッターマイヤーとポーカーを終えた後である。オーベルシュタインの「ナンバー2不要論」を親友との談議の肴にした余韻からか、彼はふいに「ナンバー2か・・・」と独語する。

だが、その時に彼がめくったトランプのカードは「スペードのエース」だった(OVA25話)。

実に暗示的な場面である。

そして、イゼルローン要塞とガイエスルブルク要塞の戦いに決着がついた後、ロイエンタールは星々の大海を眺めながら再び独語する。

「宇宙を、手に入れる・・・か」(OVA35話)

彼がヤン艦隊の放棄したイゼルローン要塞を再奪取した時は、もっと示唆的なシーンがあった。同盟軍の物資を横領した兵士を自ら銃殺するにあたって、不平をならす男に対し、「ならばお前も国を奪ってみろ!」という言葉を投げつける。

だが、それは誰よりも自分を叱咤する言葉であるように、ロイエンタールの心には響いていた(OVA46話)。

そして、彼の野心がもっとも露骨に表れたのが、バーミリオン会戦の時である。

この会戦に先だった作戦会議の後、彼は心の中で次のように独語している。

「全軍が反転してヤン・ウェンリーを包囲殲滅するか・・・。見事な戦略ではある。だが、 反転してこなかった時は、どうなるのだ?」(OVA50話)

そして、この会戦の最中、ラインハルトがヤンに敗北することを見越したヒルダが、機転をきかしてミッターマイヤーにハイネセンの同盟政府をおとす提案をした。

ミッターマイヤーはこの提案にロイエンタールも参加させようとする。

彼の姿を見て急に不安を覚えるヒルダ。実際、表向きロイエンタールは提案に賛意を表すが、心の中では「無理をする必要はない。今はな」と独語している。

そしてトリューニヒト政権が降伏すると、「同盟政府のやつらも存外、ふがいない」と内心で憤っている。(OVA53話)

おそらく、この時のロイエンタールの心情は、次のようなものだったのだろう。

「もし同盟政府が降伏しなかったら、ヤンは攻撃を続け、主君ラインハルトを討ちとった だろう。そうすれば、このおれが代わって覇者となることができたかもしれん」

露骨な表現だが、実際、ロイエンタールはこんな想いに捕らわれていたのではないか。

乱世の雄としての下刺上の衝動とまでは言わないが、彼は傑出した才能の所有者ゆえ、覇を指向する本能のようなものを抑えることができなかったようだ。

しかも、いっそう悲劇なのは、彼が自らの野望の成就のためなら義に反することも厭わない卑劣漢ではなく、あくまで公明正大であり、ラインハルトを誰よりも畏敬していたということである。あくまで、周囲の状況と彼の誇りとが、敬愛する主君との戦いに身を投じなければならないところへと、自分を追いやってしまったのだ。

そして、ミッターマイヤーとの最後の通信で「カイザーをたのむ」と語っていたことからも分かるように、おそらく自らの敗死をも内心で予感しながら、戦いに挑まざるをえなかったのだと思う。

その純粋で高貴な魂ゆえに、彼の反逆がいっそう哀しい出来事なのである。

ラインハルトと帝国軍の諸将たち――名提督列伝

帝国キャラ編目次 http://anime-gineiden.com/page-63

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