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ロイエンタール――さまよえる野心家の最期にみた真実

帝国キャラ編

「おれは、自分が何のためにこの世に生をうけたか、長いこと分からなかった。知恵なき身の哀しさだ。だが、今にしてようやく得心がいく。おれはカイザーと戦い、それによって充足感を得るために、生きてきたのではなかったのかと」(OVA95話)

この言葉からも分かるように、ロイエンタールは「自分が生まれてきた理由」をずっと探し求めてきたのだ。おそらく、これは幼児期の精神的外傷(トラウマ)によるものだろう。

ロイエンタールは親友のミッターミイヤーにだけ過去を語っている。

それによると、彼は生まれてすぐ実の母親によって片目をナイフでえぐり出されそうになった。夫婦とも青い目をしているのに、赤ん坊の右目が若い愛人と同じ黒だったからである。やがて母親は自殺し、父親は酒に溺れた。彼は幼いロイエンタールに罵声を浴びせた。

「お前は生まれてくるべきではなかった」(OVA28話)

彼はその呪詛の言葉を子守歌にして育ってきたという。

両親からの愛情を一切えられず、それどころか憎しみさえぶつけられてきたオスカー少年の深層意識には、「自分はこの世に存在してはいけなかった人間なのだ」という屈折した想いが刷り込まれてしまったに違いない。

おそらく、オスカー少年は、自分の命を造物主の気まぐれによって与えられた程度の価値の低いものと思ったのではないか。とくに、父親によって家庭の不幸の根源であると指弾されてきたことから、人並みの幸せ(温かい家庭環境や夫婦愛)を追い求める資格が自分にあるのか疑いを持ちながら成長したことだろう。

このような人格形成をへてきた人物は、当然ながら自暴自棄や無謀な挑戦に猪突する傾向がある。なぜなら彼にとって自分の命は「本来なくて当たり前の偶然の産物」程度のものでしかないからだ。たぶん、ロイエンタールの「冷笑癖」も、自分の存在そのものを軽視するところからきているのではないだろうか。

もしかして、彼にとって、自分の命自体が冷笑の対象なのかもしれない。

女は男を裏切ると力説するロイエンタール

エルフリーデに殺意を抱かせるきっかけになったエピソードが、そんなロイエンタールの内面を知るためのいい例であろう。

彼はわざわざ、自分がリヒテンラーデの私邸を襲って、後にその老人と一族の処刑を指揮した事実を教えたのだ。よりにもよってその一族に連なるエルフリーデに。

もちろん、彼自身もその行為が「歪んでいる」ことを承知していた。だが、ある種の自己破壊衝動や欲求が、彼の潜在意識の中にあったようだ。

並み居る諸将の中でも、ロイエンタールが一際、巨大な野心を胸に秘めていたのも、そんな彼の破滅指向型の性格の裏返しだったのだろう。

これはあくまで推測だが、ロイエンタールは心のどこかで「死に場所」を求めていたのではないだろうか。死を目前にした彼に、何かしらの満足感のようなものが去来していたように思えるのだ。彼の安らかな死に顔を見て、ふとそんな気がした。

ラインハルトと帝国軍の諸将たち――名提督列伝

帝国キャラ編目次 http://anime-gineiden.com/page-63

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