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キルヒアイスの後継者としてのヒルダ

帝国キャラ編

ラインハルトは、本当に部下に恵まれた幸運な指導者である。

もろちん、それは何よりも彼の人徳の賜物であるが。

彼は「キルヒアイス」という失ってはならぬものを失った後、新たにヒルダという比類なく優秀な秘書官を得た。

しかも、単に知能が優秀というだけでなく、何よりも人間的に高潔なのだ。

ヒルダは、オーベルシュタインが主君を「マキアべェリズムの道具」としか見なしていないのではないかと疑った。そのため、彼女は、オーベルシュタインの手によってラインハルトが冷酷な覇王に転落するのを防ごうとした。

他の提督はあくまで感情的にオーベルシュタインを忌避していた面が大だが、ヒルダだけは違った。彼女はあくまで論理的にオーベルシュタインの危険性を分析して、それが実現してしまうことを防ぐのが己の責務であると考えたのだ。

彼女の特筆すべき性質は、その傑出した思考能力と高貴な使命感、そして何よりも他人を思いやる優しさ(*1)ではないだろうか。

このように、優れた知性を誇り、物語におけるもっとも聡明な女性として、ラインハルトに対して数多くのアドバイスや提言を行ってきたヒルダ。

その知略の数々を列挙してみよう。

  •  帝国がラインハルト・リヒテンラーデ枢軸側と大貴族側とに分裂した際、内乱が前者の勝利に終わることを予測(*2)。父親を説得して、物怖じせずに単身ラインハルトに面談して、マリーンドルフ家を救った。
  •  リップシュタット戦役終結後、リヒテンラーデの策動をいち早く察知して、ラインハル トに注意を促した。
  •  ラインハルト独裁体制が確立してしばらく後の出兵(*3)に反対し、またラインハルトと彼を支持する民衆の真の敵が同盟ではなく、旧王朝であることを訴えた。
  •  ランズベルク伯らによる幼帝誘拐計画を看破し、ラインハルトの注意を促した。後にラインハルトがフェザーンの策略に乗じたことまで見透かした。
  •  幼帝「亡命」後も、同盟との和解と戦争回避を訴えた。
  •  同盟領侵攻を麾下の提督にまかせて、ラインハルトは後方にいるよう進言した。
  •  「連戦」後、ヤン艦隊に目もくれず、同盟本国を落すことを提案した。

  •  バーミリオン会戦でラインハルトが敗北することを見通すと、ミッターマイヤーに対し て同盟本国を制圧するように提案。ラインハルトの命を救うと同時に同盟を敗戦させた。
  •  ヤン不正規隊(イレギュラーズ)イゼルローン要塞の再奪取が、ビュコックらが玉砕した同盟軍によるマル・アデッタ星域会戦との連携プレイでないことを看破し、諸将に告げた。
  •  最後の同盟軍壊滅後、同盟政府が内紛によって自滅することを見通し、ラインハルトに告げた。
  •  ラインハルトが、ヤンに奪われたイゼルローン要塞を再々奪取するために親征する決意を幕僚に告げると、ひとまずフェザーンに帰還するよう説得し、受け入れさせた。
  •  イゼルローンのヤン一党を追い詰めているラインハルトを咎め、彼の側に譲歩する責任 があることを告げた。
  •  ラングの危険性を知ると、彼の更迭をラインハルトに進言した。
  •  ワーレン艦隊を撃破したイゼルローン軍に対して、外交使節の派遣をラインハルトに提案した。
  •  オーベルシュタインがハイネセンの要人を人質にとってイゼルローンに開城を迫ったことにより、ラインハルトが政治的に困難な立場に立たされた時、事態の打開策として「交渉」ということにする提案をした。

また、具体的なアドバイスに及んだわけではないが、ロイエンタールの危険性を何らかの形で察知していたのは、オーベルシュタイン以外には、彼女だけであったことも付け加えておかなければならないだろう。

以上、ヒルダ嬢の聡明な知略の活躍の例は、枚挙にいとまがない。

もっとも、彼女の「知略」よりも、彼女の精神的な側面や女性としての面に着目する必要がある。何と言っても彼女は、ラインハルトの妻となり、また彼の死後は摂政皇太后として全人類社会に君臨することになるのだ。

ラインハルトは当初、あくまでヒルダを有能なアドバイザーとしてのみ見なし、彼女が自分のプライベートな領域に入ってくることを容認しなかった。

だが、マリーンドルフ伯をして「しかし、あの二人うまくやれたのだろうか?」と心配せしめた「あの夜」の出来事以来、すべてが一変する。

ラインハルトは当初、「責任感」から彼女に求婚したようだが、次第に本物の愛情へと変化していくことに、それほど時間を要しなかったようだ。

ヒルダは元々、ラインハルトの人格のプラス面とマイナス面を見抜いて以来、彼を背後から必死で支えようと努力してきた。そういう意味でキルヒアイスと似た部分があり、生涯のパートナーとしては理想的と言わざるをえない。

ラインハルトは、親友の死を尻目に自分だけ結婚することに対して、かなりの自責の念を抱いていた。しかし、キルヒアイスは、きっとあの世で、自分の代わりを果たせる女性がラインハルトの前に現れたことを、誰よりも喜んでいたに違いないと思うのである。

(*1)彼女の他人に対する優しさや快活明朗などの気質は、やはりマリーンドルフ伯爵という優れた人格者が父親である影響が大きいのではないだろうか。

(*2)特権階級の一員である伯爵家の令嬢でありながら、体制の不公正さを客観視できる点は、彼女の能力の凄さの一つであろう。

(*3)ガイエスブルク移動要塞をもってイゼルローン要塞を攻略する。

ラインハルトと帝国軍の諸将たち――名提督列伝

帝国キャラ編目次 http://anime-gineiden.com/page-63

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