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「銀河英雄伝説のキャラと歴史ネタの考察」まえがき

エッセイ

1982年に刊行された『銀河英雄伝説』(徳間書店)は、正伝だけで1千万部をこえる大ベストセラーとなり、日本全国のSFファンを虜にした。また、1989年から始められたOVAシリーズは、正伝だけで110話という日本最長編を記録し、日本アニメ界において不滅の金字塔を打ち立てた。

おそらく原作・OVAファンの総計は数百万人に達するものと思われる。しかも人気が衰える気配はまったくなく、ファンは未だに増加傾向にある。毎年、開催されるコミケでも『銀英伝』コー ナーは他と比べて一際、盛況だ。

これは、ひとつの社会現象といっていいかもしれない。

かつてのアニメ・ブームを振り返ると、突然、プレイクしては、五年を待たずして終息し、後には少数のマニアが残されるのみという現象が見受けられた。だが、『銀英伝』の場合、かつてファンだった人は、今日でもなおファンであり続けている。その人気には「静かだが確固たるもの」がある。

これは、映像化が原作小説に忠実にのっとって行われ続けたことが原因かもしれない。これにより、続編とオリジナル・ストーリーの乱発で、作品世界が破綻・陳腐化してしまう過去の愚を繰り返さずにすんだと思われるからだ。

『銀英伝』が飽きられない作品なのも、原作者の創造した世界が守られ、一貫して高度な内容が維持し続けられたからだともいえる。

いったい、これほどまでに人気のある『銀英伝』の魅力とは何なのだろうか。

まず、人間のあらゆる個性が参集しているといえる「幅広い登場人物」が、魅力の最たるものであることは言うまでもない。

しかも、各々のキャラクターたちが、人生のもつ強烈な皮肉や運命の残酷さに翻弄されるという、強い「不条理性」が物語を一層、哀しく劇的に彩っている。

また、主人公のひとりャン・ウェンリーの言葉に代表されるように、よく玲味された思想や哲学が作品随所に含蓄されているのも、他には類を見ない特徴であり深い味わいであろう。そして何より、原作者の歴史に対する卓越した洞察と見識が、人間とその社会の本質を見事に突く形で物語の展開を促していることに圧倒される。

しかも、以上のような内容が、難解で生真面目な文学的表現ではなく、愛あり、涙あり、大宇宙を舞台にした迫力に満ちた戦闘アクションありの、一級のエンターテイメントとして見事に完成されているのだ。

例えるなら、歴史性を物語に立体的に構築してみせるアシモフの思想力に、スピルバーグ 的娯楽性が融合したものとでも言おうか。

このように、『銀英伝』は他の日本版スペース・オペラを「お子様劇場」に変えてしまった、かくも罪深い、希有な作品である。

さて、本書は、そんな『銀英伝』の魅力を探るべく書かれた。いや、というより一ファンとして、なんとか手探りの状態で思い入れを綴ったというのが正直なところである。

ただ、この作品のファンが数百万人もいて、すでに社会現象と化している以上、ファンとして何らかのメッセージを発信することは、それだけで広く社会全体のニーズに応えるものであると信じている。

とりあえず本書は「キャラクター」と「歴史」という、ふたつの視点から論じてみる試みをした。それぞれ章分けしているので 第一章と第二章のどちらから先に読んでいただいても結構である。

最後に、この作品の一ファンとして、原作者の田中芳樹先生とOVA版をつくられたアニメ制作スタッフの皆さんに、心からの感謝と敬意を表したいと思います。

一ファンの管理人

帝国キャラ編目次 http://anime-gineiden.com/page-63

同盟キャラ編目次 http://anime-gineiden.com/page-366

その他キャラ編 http://anime-gineiden.com/page-369

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