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思想的巨人としてのヤン・ウェンリー「軍隊について」

同盟キャラ編

「武人の心だって!? こんなやつがいるから戦争が絶えないんだ!」(OVA7話)

温厚なヤンが激怒したのは、玉砕を覚悟したイゼルローン駐留艦隊司令官ゼークトの通信文(*1)を受け取った、この時だけではないだろうか。

ヤンは、「軍人というのは、敵を殺し、味方を死なせ、他人を騙したり出し抜いたりすることに明け暮れるろくでもない商売だ」(OVA17話)とユリアンに語っている。

そして、「軍隊というのは道具に過ぎないんだ。それもない方がいい道具だ。そのことを覚えておいて、その上でなるべく無害な道具になれるといいね」(同)と言っている。

ヤンは歴史を通して、軍隊というものがいかなる性質を持つのか、嫌というほど知っていた。だから、彼は軍人としての自分に自制を徹底したのだ。彼に権力がないという理由もあるが、それ以上に軍人が権力を握ることの恐ろしさを知り抜いていたのだ。

ヤンは、軍人になろうとするユリアンに対して、「軍隊は暴力機関であり、暴力には2種類ある」と前置きした上で、次のように語っている。

「支配し抑圧するための暴力と、解放の手段としての暴力だ。国家の軍隊というやつは、本質的に前者の組織なんだ。残念なことだが歴史がそれを証明している。権力者と市民が対立した時、軍隊が市民の味方をした例は少ない。それどころか、過去に幾つもの国で軍隊そのものが権力機構と化して暴力的に市民を支配さえしてきた」(OVA35話)

このように、軍人皇帝の道をためらわずに邁進したラインハルトとは、軍隊に対する考え方が根本的に違うのだ。また、このような歴史を知るからこそ、軍隊を文民コントロール下におく民主共和制を、ヤンは支持するのである。彼は言う。

「人間にとって最大の罪は、人を殺すことであり、人を殺させることなんです。軍人というのは職業としてそれをやるんです」(OVA29話)

「いい人間、立派な人間が無意味に殺されていく。それが戦争であり、テロリズムであるんだ。戦争やテロの罪悪は結局そこに尽きるんだよ」(OVA86話)(*2)

(*1)「汝は武人の心をわきまえず。われ生きて汚辱に耐えるの道を知らず。死して名誉を全うするの道を知るのみ。この上は皇帝陛下の恩顧に報い、全艦突入して玉砕あるのみ」

(*2)ユリアンの思い出の中のヤンの語り。

ヤン・ウェンリーと同盟軍の仲間たち――イレギュラーズ伝説

同盟キャラ編目次 http://anime-gineiden.com/page-366

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