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同盟軍その他の仲間たち――ムライ、パトリチェフ、フィッシャー

同盟キャラ編

ラィンハルト麾下の帝国軍諸提督たちと比較すると、明かにヤン艦隊のメンバーは多種多様な人材の寄せ集めである。年齢の幅も広く、硬軟取り混ぜたその顔触れは、司令官ヤンの寛容で懐の深い性格の反映なのかもしれない。

しかし、意外と「普通の」「常識的な」人物もいることはいる。

ムライ

常識的な基準からいえば、規律を重んじる普通の軍人だが、ヤン艦隊の中にいると完全に異分子になってしまっている気の毒な物、それがムライである。

「ヤンの見るところムライには独創的な才能は欠けているようであったが、処理能力に富 み、また判断力も確かであるように思われた。無愛想で口やかましいところはあるが、陰湿さは感じられない」(第4巻)

宇宙暦788年、惑星エコニアの事件(*)で、ムライに出会った時のヤンの感想である。その時にヤンは、ムライに世話になったので、「いずれ自分がまちがって出世したら、彼にはいい思いをしてもらおう」と空想をめぐらしたという。

ムライは「自分の分をわきまえる」ことを知る人物である。

だから、第13艦隊の司令官に就任することになったヤンから参謀を頼まれると、「自分の果たすべき役割」をよく考えて、常識論や慎重論を意図的に唱える役柄を見出した。

また、ポプランやアッテンボローなどの若手を時々、牽制し、ヤン艦隊の「遊園地化」を防止する役割も、自然に引き受ける形になってしまったようだ。

ヤン亡き後に、脱落者の汚名を甘受して、イゼルローンの不平分子をまとめて整理した功績も大きい。「歩く小言」などと忌避されていたが、やはり彼がいなくなった後は、ポプランとアッテンボローはタガが外れてしまったようだ。

(*)当時、ブルース・アッシュビー提督の戦死の嫌疑を調査していたヤンは、軍立エコニア捕虜収容所の参事官を拝命。そこで捕虜の脱走劇事件に遭遇する。だが、その事件の真の黒幕は所長のコステア大佐自身だった。

  • ムライ語録「こまったものだ」(OVA19話)
  • ムライ評「あなたがいらっしゃってこそ、ヤン艦隊は軍隊として機能しますのに」(OVA83話) ユリアン談

フョードル・パトリチェフ

宇宙暦788年11月に、ハイネセンから惑星エコニアの捕虜収容所に赴任してきたヤンを、当地のパトリチェフが補佐役として出迎えたのが、ふたりが知り合ったきっかけであった。この時、ふたりは3カ月たらずほど行動を共にした。

ところで、このパトリチェフについて、「いつ仕事をしているのか?」とか「参謀というが、意見を聞いたことがない」などという一部ファンの疑念の声もあるらしい。

むろん、彼にも立派な存在意義がある。

「ヤンにしてみれば、パトリチェフがヤンの作戦を理解して『なるほど』とオペラ歌手級の豊かな低音でうなるとき、兵士たちに与える安堵感がいかに大きなものであるか計算をしてはいるのである」(第5巻)

そう、彼がヤン艦隊の司令部に存在している理由は、文字通り「そこにいる」ということが仕事だからである(たぶん)。

惑星エコニアでは、「この人物の存在はヤンに奇妙な安堵感をもたらした」(外伝4巻)という。この時の体験から、ヤンは、艦隊の精神安定剤役(?)として、パトリチェフをスカウトしたのではないだろうか。

エドウィン・フィッシャー

「フィッシャーは艦隊運用の名人であり、彼がいるかぎり、どれほど遠く長い征途につこうと艦隊が自らの位置を見失ったり、艦艇が脱落して艦隊としての形をなさなくなったりする心配ははない」(第2巻)

フィッシャーは、ヤン艦隊には珍しく自己主張を一切しないタイプなので、非常に地味な印象の人物である。だが、ヤンが不敗の名将たりえたのも、彼の戦闘指揮に対して艦隊が忠実に連動してきたからこそである。そういう意味で、ヤンの勝利も、「艦隊運用に関するフィッシャーの名人芸」(第8巻)があってのことと言える。

原作版では、彼が「回廊の戦い」でビッテンフェルトの猛攻をうけて戦死した後、ヤンはジェシカの死を知った時のようにサングラス(*1)で目元を隠している。

ヤンと最後に打ち合わせをした後、彼はめずらしく冗談を口にしたという。(*2)

(*1)OVA版では、眼鏡の類いが登場しない。だが、原作版のヤンは、目元を隠したい時などにサングラスを使用している。

(*2)「私もこのごろ、ようやく艦艇の動かしかたに、すこし自信が持てるようになりました」(第10卷)

ヤン・ウェンリーと同盟軍の仲間たち――イレギュラーズ伝説

同盟キャラ編目次 http://anime-gineiden.com/page-366

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