同盟軍その他の仲間たち――メルカッツその他
イワン・コーネフ
クロスワードパズルを静々とやる穏やかな人物だが、ポプランを体よくあしらうことにかけては、ヤン艦隊随一である。ポプランの皮肉や毒舌も、彼の前ではことごとく無力化されてしまう。コーネフがポプランと対峙した時に手ごわい毒舌家に豹変することについて、ヤンはユリアンに対して「無害な化学物質でも、有害なのと化合させると、やはり有害になるだろう」(外伝2巻)と説明している。
ちなみに、戦死の前に、手に持ったクロスワードパズルに当てはまる「フューネラル」の文字を口にするシーンは、OVA版のオリジナルである。
・イワン・コーネフ語録
「この戦いはヤバイ! 今は生きて帰ることを考えよう!」(OVA15話)
ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ
メルカッツといえば、あのロイエンタールも「全宇宙でおれに勝ちうる用兵家」として名を挙げているほどの屈指の古強者。
だが、彼は古風な武人であるがゆえ、かなり損な性分でもある。
リップシュタット戦役の時は、意に添わぬ上官に対しても精一杯の助力を差し伸べ、理不尽な非難に対しても一切、口答えしなかった。
また、その敗戦後は、ゴールデンバウム王朝に殉じようと自殺まで企てた。
副官シュナイダーのすすめで同盟に亡命した後は、客員提督に就任するが、しばらくすると銀河帝国正統政府の面々によって勝手に軍務尚書の役職に就かされた。しかも、そのメンツの中で、幼帝を利用した大人側の責任を自覚していたのは彼だけだったようだ。
同盟敗北後は、ヤンから「隠し艦隊」の統率を任されたことから、彼がどれほど信頼されていたかが分かる。
その高潔な人格といい、用兵の手腕といい、最高水準の指揮官のひとりであろう。
彼もまた時代の変革期にあって、大きく運命に翻弄されたひとりだった。
メルカッツ語録
「特権は人の精神を腐敗させる。自分を正当化し、他人を責めることは彼らの本能のようなものだ」(OVA18話)
「60歳近くまで、わしは失敗を恐れる生き方をしてきた。そうでない生き方もあることがようやく分かってきたのでな。それを教えてくれた人たちに恩なり借りなり返さねばなるまい」(OVA84話)
「カイザー・ラインハルトとの戦いで死ねるのだ。満足して死にかけている人間を、今さら呼びもどさんでくれんかね。またこの先いつこういう機会がくるか分からん」(OVA108話)
バグダッシュ
当初、救国軍事会議によってヤン艦隊に潜入を命じられた諜報工作員だったが、シェーンコップに正体を見破られて状況が変わると、即、寝返った日和見主義者。
ちなみに、OVA版ではタンクベッドを冷凍睡眠モードにされたが、原作版では睡眠薬で眠らされている。
バクダッシュは、ハイネセンに赴任して地球教に関する情報収集を行うことを命ぜらせれるまで、「ほぼ2年間、イゼルローン要塞で無為徒食をつづけてきた」(第5巻)という。
その後、ヤンが中央検察庁に囚われると、彼の活躍も始まる。「~情報の収集分析やレベロ襲撃計画に大きく貢献し、ようやく地歩と信頼をきずきあげた」(第6巻)そうだ。
イゼルローン要塞の再奪取作戦の時には、情報戦の実施レベルの指揮を行っている。
・バグダッシュ語録
「主義主張なんてものは生きるための方便です」(OVA21話)
ラオとグエン・バン・ヒュー
まずラオ。特徴がないことを特徴とし、OVA版では、よく目をこらすと所々にいるのが分かるというナゾの人物。
今風にいえば「ラオの存在感の無さは異常」。
原作版では、パエッタ中将麾下の第2艦隊の幕僚として、当初からヤンと共に登場していたが、OVA版ではアッテンボローにその地位を譲られている。
アッテンボローなどは、原作版では正伝の第2巻で名前が言及されるに留まり、本格的なデビューは第3巻からと遅いのだが、その後、ラオを副官に従えつつ、準主役にまで躍り出ている。ラオは、最初から登場しておきながら、最後まで無視に等しい扱いをうけている。これは『銀英伝』七不思議のひとつかもしれない。
来るべき「外伝5巻」では、ぜひラオの大活躍が見たい・・・なんて誰も思わないか。
最後は、グエン・バン・ヒュー。ヤン艦隊で一番キレてそうな人物。
「要塞対要塞」の戦いの直後に、敗走するミュラーの帝国軍を深追いして、救援にきたロイエンタール・ミッターマイヤー艦隊の返り討ちにあい、あえなく戦死した。なんとなく途中で死にそうだという予感がしていたが、やっばりそうなってしまった。
彼が死んでもヤン艦隊で同情する人がいなかったのが少し可哀相?
・グエン・バン・ヒュー評「猛将タイプの男で、総司令部の冷静なコントロールがあれば、絶大な破壊力をふるうことのできる指揮官だった」(第2巻)
ヤン・ウェンリーと同盟軍の仲間たち――イレギュラーズ伝説
同盟キャラ編目次 http://anime-gineiden.com/page-366
最近のコメント