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アドリアン・ルビンスキーの陰謀の数々(前半)

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『銀英伝』の全キャラの中でもっとも陰謀に長けているのは、フェザーン自治領主のアドリアン・ルビンスキーではないだろうか。

彼の内面については次のように説明されている。

「初代のレオポルド・ラープ以来、歴代の自治領主が、フェザーン市民と地球のいずれに忠誠を誓うかで悩み、現在のアドリアン・ルビンスキーにいたにいたって、ついに決着がつこうとしているのだ。ただし、ルビンスキーの心は第三の方向、つまり彼自身を向いているのだった」(第4巻)

彼の比類なき野心が物語の中ではっきりと言語化されたのは、自治領主ビルの薄暗い隠し部屋の一室で、地球教総大主教と超光速通信で対談した時であろう。

「裏切るなよ」と不気味に忠告する総大主教。だが彼の姿が画面から消えた途端、ルビンスキーは独語する。

「さて、生き残るのは誰かな。帝国か、同盟か、地球か、それともこのおれか」(OVA16話)

彼の覇権レース参入宣言とも取れる言葉である。

以下、そんな比類なき野心を抱いた彼の見事な(?)までの悪練な陰謀の数々を整理してみよう。

まず、ルビンスキーの当初の路線は、帝国と同盟を徹底的に争わせて、フェザーンが漁夫の利を占めるというものであった。

彼はそれを「軍事費で疲弊したところを、このフェザーンが経済面から支配する。これからの戦争は艦隊決戦ではない。経済が鍵を握るのだ」(OVA14話)と説明している。

これは、彼以前の自治領主から継承され、地球教の目的とも完全に一致したフェザーンの伝統的な陰謀路線であったようだ。

この路線で彼は二つの情報操作を行っている。

  • 宇宙暦796年、帝国暦487年初頭のラインハルト率いる帝国軍2万による侵攻計画を同盟側に数えた。(*1)
  • 同盟軍8個艦隊による帝国領侵攻計画を、レムシャイド伯を通じて帝国側に教えた。

つまり、帝国が勝てば次は同盟を勝たせ、同盟が勝てば次は帝国を勝たせる、というやり方である。こうしてルビンスキーは、両者の勢力が枯抗しつつ疲弊するように仕向けた。

だが、ラインハルトという戦争の天才の登場により、状況が一変する。

彼がアムリッッア星域会戦で侵攻してきた同盟軍を完膚無きまでに叩きのめしたため、宇宙の三勢力の国力比が変化してしまったのだ。

以前の帝国・同盟・フェザーンの国力比は「48対40対 12」だったのが、会戦以降、「54対30対16」に変化する(OVA27話)。(*2)

この試算をうけて、ルビンスキーがケッセルリンク補佐官に言う。

「いやあ、これではもはや均衡とは呼べん。そこでだ。わがフェザーンの方針を変更することにする。帝国に協力して同盟を滅ぼし、ローエングラム公に宇宙を統一させる。むろん、その後でその新帝国を裏面より支配するのだがな」(OVA27話)

ここからが彼の真骨頂の発揮であろう。

地球教が目指すのは祭政一致の神権政治である。だが、現実主義者のルビンスキーはそんな狂信者の戯言につき合うつもりはない。

そこで彼が計画したのは次のような方法だった。

「地球教に対し面従腹背でのぞみ、帝国とフェザーンの二重支配体制が確立した時点で、帝国の武力によって地球教を弾圧、壊滅させることである」(第3巻)

  • 彼の陰謀の数々がこうして実行される。再び列挙してみよう。シャフトを操ってイゼルローン要塞の攻略案をラインハルトに示す一方、同盟政府にヤンの存在の危険性を吹き込んで、彼を本国の査問会に召喚させた。こうして、帝国軍にヤンのいないイゼルローン要塞をタイミングよく攻撃させた(*3)。また、その戦いの後に用済みになったシャフトをあっさりと切り捨てた。
  • ラインハルト独裁体制の帝国と同盟とが共存する事態にならないよう、ランズベルク伯らに皇帝を誘拐させて同盟に亡命させた。そして、皇帝を擁した門閥貴族の生き残りに「銀河帝国正統政府」をつくらせて同盟と野合させ、両者を不倶戴天の間柄にした。

(*1)劇場版『新なる戦いの序曲』のオリジナルエピソード。これに対し、同盟軍4万の艦隊が編成され、ラインハルト艦隊の包囲殲滅を目論むのだが、彼の各個撃破作戦の前に敗れた(アスターテ会戦)。

(*2)ただし原作版では「48・33・19」であり、「要塞対要塞」の戦いの後に算出された。

(*3)「要塞対要塞」の戦い。ちなみにフェザーンがシャフトの発案にたまたま乗じたのか、それともシャフトに発案させたのか、この点が明確でないが、たぶん後者であろう。ルビンスキーの話によると彼は「従わざるをえない状況に追い詰め」られていたようだから(OVA28話)。

陰謀と詐術と悪徳の世界――負と暗黒の人間像

その他キャラ編目次 http://anime-gineiden.com/page-369

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