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銀河帝国の大貴族がラインハルトを憎む理由

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原作版における「クロプシュトック事件」では、クロプシュトック侯爵領に対して貴族による討伐軍が差し向けられた。その時に猟奇的な雰囲気が討伐軍に夢延し、侯爵領に住む人々は貴践を問わず加虐の対象とされたという。

「参加した青年貴族の大半は、戦闘と同じく、掠奪や暴行をゲームとみなした。特権と物質的充足の享受が長きにわたってつづくと、現実感覚が希薄化し、刺激を求めて一方的な加虐を好み、他者の不幸を欲求する心理的傾向が強まる」(外伝1巻)

加虐に走る特権層の心理をこれほどまでに見事に解説した例があるだろうか。

貴族という特権階級は、幼少期の頃からたくさんの従者にかしずかれて、自分が特別の人間だという錯覚を刷り込まれて育つ。

人権思想というのは、そもそも人間が神によって平等に造られ、生まれながらに平等の権利を有すると考えるところからきている。

だが、そのような思想と反対の環境で生まれ育った特権階級は、当然のごとく平民を「自分たちより劣った存在」として蔑視する(*)。

したがって、その「自分たちより劣った存在」であるはずの「下賤の身」が、同じ貴族階級の仲間入りを果たしたり、社会的に成功したりすることを、ことのほか憎悪する。

「成り上がり者」を差別し、軽蔑するのは、彼らの本能といってもいい。

もしラインハルトが、不細工で何の才能も有しない、文字通り姉の龍愛だけで成り上がったような存在だったら、単に軽蔑されるだけで済んだであろう。

そして、貴族社会に対して、新参者らしくプレゼントを手に方々に挨拶回りでもすれば、「おーっ、ういやつじゃ」と適当に可愛がられたことであろう。

だが、ラインハルトは比類なき美貌と才能を有する若者である。

しかも、大貴族に対して決して媚びを売らない。特権意識に凝り固まった人間からすれば、一番許しがたいタイプの存在なのである。

そして、そんなラインハルトが階級社会の階段をどんどんと駆け上がってくる。

これは大貴族にとって恐怖すら催す事態であろう。なぜなら、彼らの特権を脅かしかねない存在であることを本能的に察知するからだ。

とうてい彼らの差別意識の本能が容認できるはずもない。

とくにフレーゲル男爵などは、ラインハルトの希有な美貌と巨大な才能に対してある種のコンプレックスを抱いている可能性もある。彼のプライドを護る最後の砦が「おれの方が、身分が上なのだ、血統がよいのだ」という思い込みなのである。

だから、ラインハルトがローエングラム伯爵家の門地を継ぐという話に対して、彼をしてますます「この成り上がり者が! 元は下賤の身の分際で、つけ上がりよって!」という暗い反発感情を呼び起こすことになるのだ。

ラインハルトが大貴族から徹底的に憎まれるのも、彼の存在自体が特権者の警戒心を本能的に呼び起こし、その務持をズタズタに切り裂いてしまうからである。

(*) むろん貴族のメンタリティに限らず、あらゆる差別に共通するのが、人が生まれながらに平等であるという人権思想の欠如であることは言うまでもない。

陰謀と詐術と悪徳の世界――負と暗黒の人間像

その他キャラ編 http://anime-gineiden.com/page-369

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