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【銀英伝】ザ・悪役――ラングとケッセルリンク

その他のキャラ

1・ハイドリッヒ・ラング

そもそもラングとは何者か。(*1)

この男の過去について次のように説明されている。

「内務省社会秩序維持局の長官として、政治犯・思想犯・国事犯の検挙をおこない、言論活動を監視・弾圧し、教育や芸術にまで干渉し、帝政を内部から支える権威的専制主義の支柱として、強大な権力と権限をほしいままにしてきた」(第4巻)。

つまり、旧帝国体制の必要悪的存在だったのだ。

だが、ラングは過去に「職権を濫用して私腹を肥やした」ことがなかったせいか、ローエングラム体制後も、オーベルシュタインの後押しによって、内務省内国安全保障局長として返り咲くことができた。

ちなみにこの時点でラングはまだ30代であったという。

もしかして帝国七不思議の一つか?

ラングをしてロイエンタールに私怨を抱かせるきっかけとなったのは、上級大将以上の 武官が出席することになっていた会議でのロイエンタールの発言である。

皇帝の権威を傘にきたラングの発言に対し、ロイエンタールがキレて「だまれ、ゲスッ!」とあしざまに罵った(OVA64話)。

これを重大な侮辱と受け止めたラングは、以後、ロイエンター ルを陥れるために、暗い情熱を注ぎ込むことになる。

たしかに、これはいくらロイエンタールでも少し言い過ぎに思われるが・・・。

ラングが弄した陰謀を列挙してみよう。

  • エルフリーデの告発を利用してロイエンタールを大逆罪に陥れようとした。(*2)
  • 接近してきたルビンスキーと共謀し、ロイエンタールを反逆者に仕立て上げることに成功した。

ラングは権力欲の赴くままに、次のような謀略を抱いていたという。

まず、私怨を抱くロイエンタールを葬り去ると同時に、部下に対するラインハルトの疑念を増大させて、粛正と恐怖政治に走らせ、自分がその尖兵として、帝国最大の重臣に成りおおせる。そして、オーベルシュタインとミッターマイヤーを相討ちさせることで共倒れさせ、若い皇帝を自らの傀儡にして新帝国を牛耳る・・・。

なかなかの陰謀家である。

だが、「冤罪事件」(*3)がばれたことを機に、結局、逮捕・処刑される。

ちなみに、そんな男が「下級官吏のころから給料の一部を育英事業や福祉施設に匿名で送金しつづけていた」(第8巻)ことが死後に明かになったという。

この男の策動をあえて黙認したオーベルシュタインにも非はあるかもしれない。

たぶん、彼は大きな立場からラングを操っていた。ラングを道具にして、彼の思う“新帝国の禍の種”(=ロイエンタール)を除こうとしたのが「真相」かもしれない。

(*1) ラング評

「オーベルシュタインの靴の裏にはりついた汚物」(第8巻) ミッターマイヤー

「人面皮の白蟻」(第9巻)同

「人間の皮をかぶった白犠」(OVA94話)同

(*2) 「ロイエンタール元帥に不穏の気配あり」ということで、イゼルローンへの親征は延期となった。

(*3) ルビンスキーの依頼をうけたラングによって、フェザーン代理総督ボルテックが「シルヴァーベルヒ爆殺の共犯」として逮捕・拘禁され、獄中で毒殺された。「この一件は不審だ。ラングが最初からボルテックを陥れるべく証拠を提造したのではないか」(OVA85話)と思ったルッツが、憲兵総監ケスラーに対処を求めた。

2・ルパート・ケッセルリンク

フェザーン自治領には、もう1人の野心家がいた。

それが若き補佐官ケッセルリンクである。

ルビンスキーが「ルパートはおれに似ている」と独語したように、彼の野心と覇気はルビンスキーに並ぶほどであった。

帝国に赴任したボルテックの後釜として補佐官に就任したケッセルリンクだが、彼の目的はルビンスキーを倒してフェザーンの権力機構の頂点に立つことにあった。

しかも、両者には「親子の確執」があった。

ケッセルリンクの母親は「その日の食事にも困るような貧家の娘」(OVA35話当人談)であり、かつてルビンスキーが捨てた女性であったという。(*1)

このことが終生、彼の人間性や生き方に陰をおとしたようだ。

このような「不幸な生い立ち」が、善良な資質を伸ばすよりも、他人を蹴落としてでも自分のエゴを成就しようとする人間に彼を育ててしまったという見方もできる。

ゆえにこの若き野心家には、同情の余地がないわけでは決してない。

ケッセルリンクは、能力があり、野心のためなら手段を選ばない男である。

たとえば、ルビンスキーの命ずるままに、同盟の高等弁務官を使喉してヤンを本国へ召喚させたり、帝国の旧体制派に幼帝の誘拐をさせて同盟と野合させたり、またデグスビィを監禁して背教者に仕立て上げ、自らの野心に利用しようとしたりと、手段を選ばない。

だが、陰謀家としては、やはりルビンスキーの方が何重にも上手だったようだ。

(*1) その時の会話から察するに、ルビンスキーは「宇宙全体の富の何%かを握る富豪の娘」を選ぶために、その女性を捨てたらしい。

(*) ケッセルリンク語録

「あんたには何も残してやらない。このおれ自身もな」(OVA44話)

(*) ケッセルリンク評

「お前は何でも知っていたが、ただ時期を待つということを知らなかったな」(同)ルビンスキー

陰謀と詐術と悪徳の世界――負と暗黒の人間像

その他キャラ編目次 http://anime-gineiden.com/page-369

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