同盟政治家列伝(後編)【銀英伝キャラ】
自由惑星同盟の政治家たちには、民主国家としての末期と国家滅亡という激動の時代にあって、まるで悲喜劇を演じる役回りが与えられているかのよう。
後編はかなりの脇役クラスになる。
4・ホアン・ルイ
レベロと同様、彼もまた同盟の政治家としては良識派に属するほう。
帝国領侵攻を協議した最高評議会では、人的資源委員長として反対票を投じている。政治家という立場を客観的に心得ているのがこの人の美点だろう。
ホアン・ルイ語録
「私たちは社会機構の寄生虫でしかないのさ。それが偉そうに見えるのは、宣伝の結果としての錯覚に過ぎんよ」(OVA11話)
5・最高評議会の面々
最高評議会は自由惑星同盟の最高意志決定機関である。
帝国領侵攻の決定を下して、後に失敗の責任をとって辞任した評議会のメンバーは8人いた(*)。この中でとくに論じるに足る人物がいるとすれば、議長のロイヤル・サンフォードと、交通情報委員長のコーネリア・ウィンザー女史だろう。
サンフォードは単に政権維持のために出兵案に賛成した「選挙屋」である。
だが、ウィンザー女史は、専制政治を絶対悪と考える極端な善悪二元論者であり、かつ人道や現実よりも、自殺的なヒロイズムにさえ傾倒する観念論者だった。
いずれにせよ、2人とも非常に質の低い政治家であることは間違いない。
(*) 定員は11人。決定に反対した3名はホアン・ルイ、レベロ、トリューニヒトであり、全員が残留した。
ウィンザー女史語録
「どれほど犠牲が多くとも、たとえ全市民が死に絶えても成すべきことがあります」(OVA 12話)
6・フランチェシク・ロムスキー
エル・ファシル革命政権の主席。
彼は「現実処理の才能が明かに不足していた」(第8巻)が、しかし羞恥心はわきまえていた。ヤンを売り渡そうとした側近のアドバイスを排除したのである。
本職は医者で、少女時代のフレデリカにもいい印象を与えていることから、決して悪い人物ではないようだ。
ただ、ヤンにとっては「やはりこの人も政治家だ」と思わせる一面もあった。
ロムスキー語録
「冗談ですよ」(OVA74話)
7・エル・ファシル革命政権の面々
同盟が帝国に降伏した後に独立の気勢を挙げた自治政府の政治家たち。
だが、自分たちの旗色が悪くなるや、すぐに理想を投げ捨てて立場を変えてしまう、無責任さを象徴するような人々だった。
政治上の革命運動の挫折を、死したロムスキーに責任転嫁した上、ユリアンの前で高らかに全人類の理想を謳い上げて、すたこらさっさと逃げてしまった(笑)。
やはり政治家という生き物は、主義思想に若干の違いこそあれ、本質的に厚顔なのだろうか?
名脇役たちこそ陰の主役なり――キャラクター勝手に分類学
その他キャラ編目次 http://anime-gineiden.com/page-369
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