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「不幸な人」列伝(前編)【銀英伝キャラ】

その他のキャラ

『銀英伝』では「不幸」が山盛りである。

運命の不条理や人生の無常の前に苦悩し、傷つき、そして倒れる人物たちが、これでもかと登場する。だが、他に類を見ないほど、『銀英伝』にリアリティーを感じられるのも、お約束事のようにハッピーエンドに帰結するご都合主義的なストーリー展開を排し、皮肉と理不尽に満ちた状況の中で、人々が必死に生き、そして運命に翻弄される様を、容赦なく描いているからではないだろうか。

ダスティ・アッテンボローは次のように言っている。

「テレビの三文アニメなら、制作者の都合によって死んだ主人公も生き返るだろう。だが、おれたちが生きているのは、それほど都合のいい世界じゃない」(OVA88話)(*)

彼がどのようなアニメを念頭に置いたのかはともかく、『銀英伝』は死を「本当の死」として扱う物語だからこそ、登場人物たちも輝いているのだと言える。

ここでは、物語の中で、そんな「かわいそう」とも思える「不本意な死」を強いられた人々を取り上げてみよう。

(*) 『×宙×艦×マ×』の艦長の「×田」などが例として挙げられる。人気が出てシリーズ化されると、のちに「沖×」は「実は脳死に至っていなかった」とされた。ちなみに作者の田中氏は『宇×戦×ヤ×ト』のファンだというが・・。

1・ジャン・ロベール・ラップ

ラップの悲劇は、無理解な上官を持ってしまったことにある。

アスターテ会戦の時、味方の不利を悟ったラップは、第6艦隊司令のムーア中将に対し、未だに無傷であろう第2艦隊との合流を具申するが、相手にされない。

結局、この無能な上官の巻き添えをくう形で、彼は戦死を強いられてしまう。自分の過失で死ぬならともかく、上官の過失で死ぬのは、本当に理不尽である。

ラップ語録

「ヤン、お前はこんなザマになるなよ」(OVA1話)

2・ジェシカ・エドワーズ

婚約者ラップの死をきっかけに代議員に転身し、反戦活動をリードしていたジェシカ。

だが、ハイネセンスタジアムで「平和と自由を回復する市民集会」を開催した時、乗りこんできた軍隊至上主義者のクリスチアン大佐を非難したがために、撲殺されてしまう。

婚約者を戦争で失って以来、平和のために全身全霊で運動してきた彼女だが、その理想半ばにして悲劇的で不本意な死を強制されたのである。

ジェシカ語録

「委員長! あなたはどこにいます!? 戦死を賛美するあなたはどこにいます!?」(OVA3話)

3・ドワイト・グリーンヒル

政治の腐敗を糺さねばならないという義務感ゆえ、クーデターを決意したのがグリーンヒル大将である。

もっとも、彼が亡き妻の墓前で、「だが若い連中は性急でな・・。もし私が立たねば誰が彼らを抑えられるだろうか・・」と語っていることから、事情はもっと複雑のようだ。

おそらく、グリーンヒル大将の内心は次のようなものだったのではないか。

「今の腐敗した政治を糺すのはむろんだが、他方で、決起した青年将校たちが理想に燃えるあまり暴走するようなことがあれば、それはそれで国家に害を成してしまう。血気にはやる若い将校たちをコントロールできるのは自分しかいない・・・」

あくまで私の推測である。おそらく、彼はそのような二重の義務感からクーデターの首謀者たる道を選択したのではないだろうか。

すべては、彼の正義感・責任感のなせる業だったのだ。

だが、彼は自分が知らないところで、大きな意図に操られていた。無常にも「帝国の野心家の小僧の道具」でしかなかったのである・・・。

グリーンヒル語録

「もう終わったのだ。せめて、潔く終幕をむかえようではないか」(OVA24話)

4・フランツ・ヴャーリモント

まるで絵に描いたような理不尽である。素朴なフランツ青年は、第7艦隊が「解放」した、とある惑星の農業の復興に尽くす。

彼を支配しているのは、善意と責任感である。

だが、補給を断たれた同盟軍は、一転して物資の現地徴発を始めた。

彼は、略奪行為に走った味方と、自分が尽くした現地の人々との間で、板挟みにあう。

そして、両者はついに殺し合いに発展してしまう。

ラインハルトの壮大な戦略など知るよしもない彼は、ただひたすら希望を打ち砕かれ、理由も分からずに悲劇的な結末を呪うしかない。なんという不条理!

(*) OVAオリジナルキャラ

名脇役たちこそ陰の主役なり――キャラクター勝手に分類学

その他キャラ編目次 http://anime-gineiden.com/page-369

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