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「不幸な人」列伝(後編)【銀英伝キャラ】

その他のキャラ

5・ランズベルク伯アルフレッド

彼の場合は、銀河帝国のガチガチの貴族社会の一員として、世の中の広い現実を知らずに育ってきたことに、そもそもの悲劇の根があるように思われる。

もともとの気質は善良なようだが、騎士道ロマンチシズムに自己陶酔する傾向があり、現実と理想の区別が曖昧なところがある。

つまり、平たく言えば、苦労知らずのお坊ちゃんである。

ただ、彼なりに「筋」は通している。彼は帝国貴族としての誇りゆえ、あくまでゴールデンバウム王朝に純粋な忠誠を貫き通した。それが誤りであると客観的判断ができないのは、言ったように、彼の生まれ育った環境の責任が大かもしれない。

結局、同盟が崩壊して「銀河帝国正統政府」が倒れた後も、彼だけはエルウィン・ヨーゼフ2世を「お護りする」ために、幼帝を連れて逃亡。

あげくに「皇帝」に逃げられて、脆弱な精神を病んでしまう。本質的な正邪が判断できないがゆえに、誤れる大義に殉じ、最後には破滅してしまったのである。

6・レオポルド・シューマッハ

その点、ランズベルク伯と比べて、「貴族に使われる側」であるシューマッハは、兵士の実情にも通じており、物事をもっと客観的に把握できる人物である。

だが、フレーゲル男爵のような人間を上官として持ってしまったことが、そもそもの不幸の始まりであった。おそらくリップシュッタット戦役の時も、両者のどちらに付くかの選択権など、彼にはなかったであろう。

彼は戦役後、フェザーンに赴いたものの、農場とそこで働く元部下たちの生活を抵当にされて、幼帝誘拐の実行犯になるという、不名誉かつ理不尽な取引を飲まされる。

彼はランズベルク伯と違って、最後まで自分のしていることが茶番劇であることを理解していたが、それでも拒否できる立場になかった。

結局、ハイネセンで逮捕された彼が、後に農場に帰ってみても、部下たちもいなくなっていた。彼もまた不運のせいで、不本意な生を強制された人物であろう。

シューマッハ後日談

フェザーンに帰ったが、集団農場はすでに解体され、部下たちも四散していた。

さらに「シュトライト中将の推薦で、帝国軍准将となるが、宇宙海賊との戦闘中、行方不明になったのである」(第10巻)という。

7・キュンメル男爵ハインリッヒ

生まれつき病弱なため、籠の中の鳥としての生活を強いられてきた男爵。

なまじ貴族として裕福なだけに生きながらえ、かえって「人生の意味」について思案の日々を送らねばならなかったようだ。

そして、彼の出した結論が「生きていたという証しを歴史の上に残してからでなければ、死ぬわけにはいかない!」(OVA35話)というものだった。

彼はあえて地球教の策謀の手先となり、カイザーの暗殺犯という不名誉な役割を引き受けた。それは死を目前にした彼にとって「ラストチャンス」ですらあったのだ。

そして、彼は人生最後の時を演じきり、薄命に幕を下ろした。

キュンメル男爵語録

「ぼくは何かして死にたかった。どんな悪いことでも、どんなバカなことでもいい。何かして死にたかった。それだけなんだ・・・」(OVA57話)

8・ブルーノ・フォン・シルヴァーベルヒ

この人物は印象が薄いので、つい見逃してしまいがちだが、よく考えてみると彼もかなり不幸な人である。

カイザー・ラインハルトにその才能を認められて工部尚書に抜擢され、さらに帝国首都建設長官として、フェザーン遷都の実現を命ぜられたシルヴァーベルヒ。

だが、爆弾テロで何の前置き(伏線)もなく、突然、命を断たれた。

戦争の終結を見越して、経済建設の時代をいち早く志向していたのに、夢半ばにして倒れたのである。

シルヴァーベルヒは有能で、若き野心家で、建設的な思考をする、社会にとって有益な人材だった。現代でも無差別テロ事件が世界各地で起きているが、テロの罪悪というのは、どれほど有益な人物の命であっても一瞬にして奪い去ってしまう点にある。

シルヴァーベルヒ語録

「おれのやりたいこと、おれの造りたいものは、かつて人類が見たこともないようなものだ」(OVA77話)

9・その他の不幸な人々

たくさんいる。

言うまでもなく、前項で取り上げたレベロも不幸であるし、レンネンカンプも自業自得の趣があるとはいえ、やはり非運な最期であったと言えよう。

また、身勝手なフォークに撃たれたクブルスリー本部長や、グリルパルツァーの甘言に乗せられて戦死したクナップシュタイン、ヨハンナに対する想いゆえに汚名を甘受したカイザーリング男爵なども「不幸」な人だろう。

また、まともな躾も与えられず、政治的な力学だけで皇帝に祭り上げられ、最後にはランズベルク伯によって連れ去られたエルウィン・ヨーゼフ2世もかわいそうな子供だ。

さらに、リップシュタット連合軍につき合わされた平民兵士たち(とくにリッテンハイム侯に攻撃された輸送艦の乗組員)も理不尽な犠牲者であろう。

領民を私物としか思わない傲岸なブラウンシュヴァイク公に虐殺されたヴェスターラントの住民たちにいたっては、「不幸」などというレベルをとう越えている。

その他にも、トリューニヒトの家族(*)や、ラインハルトに「その杖をどけたまえ」と言われた人(*)も、実にかわいそうではないかと思う。

ああ、それにしても『銀英伝』は「不幸」が山盛りだなあっと。

(*) 「彼が家族と資産をともなって帝国領内に去った後には、喰いあらされた政治機構と、呆然自失の状態におちいった支持者が残された」(第7巻)とあることから、彼にも家族がいたことが察せられる。もし自分の父親がトリューニヒトだったらと想像すると、その子たちもまた「不幸な人」に数えられるかもしれない・・。

(*) その杖とは、クロプシュトック侯が、皇帝フリードリヒ4世とブラウンシュヴァイク公らを暗殺しようとして、ブラウンシュヴァィク邸のパーティー会場に残してきた時限爆弾仕掛けの杖のこと。

名脇役たちこそ陰の主役なり――キャラクター勝手に分類学

その他キャラ編目次 http://anime-gineiden.com/page-369

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