「銀英伝」の「歴史ネタ」考察にあたって
当サイトは「キャラ」と並んで「歴史ネタ」を考察することが目的である。
『銀英伝』はスペース・オペラの体裁をした壮大な歴史物語であるといわれている。
そもそも主人公ヤン・ウェンリーのみならず、作者の田中芳樹.氏自身が相当な「歴史魔」だということは衆目の一致するところである。
そういえば『銀英伝』も、「後世の歴史家」の視点から、物語の舞台とそこで活躍する人物たちを鳥職するという、大変めずらしい構成になっている。それゆえ、この物語は独創的かつ革命的なのであり、ファンを魅了してやまないのかもしれない。
ところで、このように、物語の世界に「疑似的な歴史」を構築するという作業には、大変な想像力だけでなく、実際の歴史に対する深い知識と洞察が必要不可欠である。そういった歴史的教養の裏打ちがあってこそ、始めて成しえる技であると言えよう。
この『銀英伝』の中にも多数の歴史の事例が援用されているという。
聞き伝えによると、『銀英伝』に接してから急に歴史に興味を持つようになったファンも多いそうだ。
つまり、「歴史」は『銀英伝』をより深く理解するための重要なキーと言ってもいい。
そういうわけで、ここでは『銀英伝』ワールドにおける設定やストーリーの展開について、実際の歴史の事例から考察してみることにした。
つまり、実際の歴史を紐解いてみて、物語の各パートに対応する「例」として思い当たるものがあれば、拾い上げてみようというわけだ。
もちろん、本来、ある作家の創作物の内容を、すべて歴史ネタに帰してしまうのは、乱暴極まりないことだし、第一、大変な苦労をされて物語を創られた作者に対して失礼千万である。実際、このようなやり方にこだわると、純然たるオリジナルの部分まで、強引に歴史の事例に結び付けてしまう危険性もある。
したがって、当サイトで提示する事例は、あくまで「解釈のひとつ」に過ぎないということを、あらかじめお断りしておきたい。
つまり「こういう見方もできる」という例え話であり、それ以上でもそれ以下でもない。
平たくいえば、無数の歴史的事例の中から、当サイトが勝手に「これは『銀英伝』の内容に類似している内容か、又は参考にされたと思われる例だ」と思いこんでいるに過ぎない例を取り上げているという、ただそれだけの話である。
ゆえに、「歴史ネタをあら捜しして、こじつけているだけじゃないか」という批判に対しては、当サイトとしても「その通り」と認めるほかない。
もっとも、以下に取り上げる歴史の事例が、『銀英伝』の創作にあたって本当にヒントになったか否かを問わず、単に「このような歴史もあったんだ」ということを知っておいても全然損にはならないと思うのである。
そういう意味で、肩肘をはらずに、目を通す程度の姿勢で本文に挑んでいただければ、ちょうどよいのではないかと思う。
歴史の面白さに少しでも気づいていただければ、これにまさる喜びはありません。
「銀英伝」には歴史が満ちている――気ままに歴史ネタ探求
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