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【銀英伝】銀河帝国皇帝ルドルフの登場【前編 歴史ネタ】

歴史ネタ編

ゴールデンバウム王朝の開祖にして初代皇帝となりおおせたルドルフ・フォン・ゴールデムバウムは、もとは銀河連邦における一軍人に過ぎなかった。

彼は宇宙軍士官学校を首席で卒業後、宇宙海賊の組織を壊滅した辣腕ぶりにより、一躍、英雄となる。そして軍籍を退いて政界に進出。「国家革新同盟」のリーダーとして、幾度かの選挙をへて全権を掌握することに成功。共和政治を終焉させた。

この銀河帝国の創始者たるルドルフは、まず軍事的英雄として頭角を現し、その後にその野心を膨張させて、至尊の地位を目指した。

これは歴史において常に繰り返されてきた現象である。

いくつか類似した例を挙げてみよう。

まずは貧乏貴族の出身であったガイウス・ユリウス・カエサルである(*1)

共和制ローマの末期に登場した彼は、とてつもない俗物で、生涯で4度結婚し、愛人は数知れなかったという。若くして軍人・平民派の首領として、彼と同じく元老院の保守派の憎しみをかっていたポンペイウス(*2)クラッススと手を結び、執政官となる。

カエサルは、執政の任期切れの前に自らをガリア属州総督に任じ、軍団を率いて当地を制圧する。これにより将軍としての栄光を手にし、ローマの民衆を熱狂させ、元老院から益々忌避されるようになる。

当時のローマの共和政治は末期状態にあり、金権と暴力と抗争に明け暮れる中、元老院が辛うじて共和政治の務持を守っている有り様であった。そんな中、再びガリアで大規模な反乱が勃発し、カエサルは軍団を率いてガリア諸族と次々と転戦。連勝し、軍事天才ぶりを発揮した。だが、ローマでは、クラッスス戦死後、ポンペイウスと元老院が野合し、強大化した軍事指導者であるカエサルの排除に取り掛かった。

カエサルはこう言ったという。「サイは投げられた」と。

彼は私兵と化した軍団を率いてルビコン河を渡り、ローマに進撃した。こうして国を二分した内戦となる。カエサル軍は劣勢だった。だが、彼は軍事的才能を発揮してポンペイウスと元老院派を破り、制圧した。その勝利により、任期十年、次いで終身独裁官となり、ついに共和制ローマに終止符を打った。

この後、シェークスピア(*3)『ジュリアス・シーザー』にも描かれた通り、彼は共和派の残党によって暗殺されてしまうのだが、「軍事的英雄が長年の共和政治を終わらせた」という点がルドルフ・フォン・ゴールデンバウムの姿と重なる。

ただし、彼の功績は、あくまで「宇宙海賊の退治」である。

そして「海賊の討伐者が至尊の冠を戴く」となると、これはもう李成桂しかない。

14世紀後半、倭寇と呼ばれる海賊が朝鮮半島沿岸などを襲っていた。

困り果てた高麗(*4)は、紅市の乱討伐などに功績のある李成桂に撃退を命じた。

1380年、彼は火薬や火器を搭載した軍船で、5百隻の倭寇船団撃破に成功。この功により、政治的にも頭角を現すようになる。そして88年、自らの軍勢を率いて首都を占領し政権を握る。その4年後には王位に就き、以後5百年続く李氏朝鮮(李朝)を開闘した(ただし明の冊封国家なので、皇帝ではなく、あくまで国王である)。

この李朝は、朱子学を国学とした中央集権的な専制国家で、両班と呼ばれる特権階級の腐敗と民衆の搾取が著しかった点において、ゴールデンバウム王朝と類似する。

(*1)前100~前44年。共和制ローマ末期に登場した政治家・将軍。共和派のブルートゥスらに暗殺される。

(*2) 第1回三頭政治。元老院に対抗して3人で国政を分担した。ポンペイウスはスパルタクスの乱 (奴隷反乱)の鎮圧や海賊討伐、東方戦線などに活躍した将軍・政治家で、クラッススも同じくスパルタクスの乱を鎮圧した将軍・政治家。またローマ有数の大富豪でもあった。

(*3)1564~1616年。イギリスの劇作家。「ロミオとジュリエット」「ヴェニスの商人」「ハ ムレット」「マクベス」など生涯に多数の名作を創作した。

(*4) 918~1392年。豪族の王建が高句麗の後継者を自任して建国。936年には朝鮮半島を統一し「開城」を都とした。後にモンゴルの支配をうける。翡翠色をした高麗青磁や金属活版印刷などを生み出した。

「銀英伝」には歴史が満ちている――気ままに歴史ネタ探求

歴史ネタ編目次 http://anime-gineiden.com/page-890

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