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【銀英伝】銀河帝国皇帝ルドルフの登場【後編 歴史ネタ】

歴史ネタ編

さて、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムは、当初は合法的に指導者となった。

「彼は国民投票によって首相となり・・・議会により国家元首に選任された」(第1巻)という。もっとも、OVA版ではこの首相と国家元首の位置が入れ替わっているが。

まさにこの部分こそ、まさにヒトラーの台頭そのものである。

1920年代のドイツは銀河連邦末期のように、文明病による社会の堕落を迎えていたわけではなく、史上未曾有の経済恐慌下にあった(*5)

その中にあって、反ベルサイユ体制・反共・反ユダヤのプロパガンダとパフォーマンスを繰り返して大衆の支持を獲得したのがナチスであった。

ヒトラーはあくまで合法的に政権を握った。

1932年、ヒトラー総選挙でナチスを第1党にまで仕立て上げ、首相に就任。翌年には全権委任法を可決し、一党独裁体制を確立。さらに34 年、ヒンデンブルク大統領(*6)の死後、国民投票によって国家元首に就任。ついに独裁者=ドイツ第三帝国総統へと上り詰めた。

もちろん、圧倒的多数の国民は快哉を叫んだ(ここが重要な点だ)。

民主的な選挙制度を刊用し、民衆の熱狂的な支持を背景にして独裁者となった点が、『銀英伝』のルドルフとヒトラーが似ている点あろう。

ただ、「皇帝」にまで成りおおせたといえば、ナポレオンの例になる。

1789年に始まるフランス革命は、当初の立憲君主制(*7)からすぐに第一共和制(*8)へと移行し、 さらに公安委員会(*9)による恐怖政治、そして総裁政府(*10)による指導へと、混乱を極めていた。

この時期に軍事的天才として名声を獲得したのがナポレオン・ボナパルトであった。

ナポレオンはクーデターによって総裁政府を倒すと、任期制の第一執政官となり、すぐに終身執政官となった。そして1804年、ついに皇帝ナポレオン1世としてノートルダム寺院で戴冠し、新たな貴族制度を創設した。

この辺りは、まさに独裁者として終身執政官を自称し、宇宙暦310年に銀河帝国皇帝となったルドルフと軌を一にするといえよう。

(*5)23年には物価1兆倍のハイパー・インフレとなり、経済が破綻した。その後、新紙幣の発行でインフレは乗り切ったものの、大量失業時代をむかえた(32年には失業者600万人)。

(*6)1847~1934年。プロイセン、ドイツ帝国の軍人。第一次大戦の時はタンネンベルクの戦いでロシア軍を撃破し元帥となる。大戦後は右派に推されてヴァイマル共和国の第2代大統領となる。

(*7)1791年に国民議会が制定した憲法により、王権は縮小されたが残され、一院制の立法議会が誕生した。

(*8)1792年、共和派の国王廃位要求が高まり、議会は王権を停止。普通選挙によって誕生した国民公会は共和制を樹立し、93年に国王ルイ16世を処刑した。

(*9)急進的なモンターニュ派は、議会の対立派閥を追放し、独裁権を握ると、1793年憲法を制定した。執政機関である公安委員会は反革命派を次々と逮捕・処刑し、ロベスピエールの独裁が確立してからは、裁判に弁護人や証人も必要なくなり、恐怖政治が進行した。

(*10)94年、国民公会は巻き返しをはかり、ロベスピエールらを逮捕した(テルミドールのクーデター)。翌年、新憲法が制定され、5人の総裁が担当する政府がつくられた。

「銀英伝」には歴史が満ちている――気ままに歴史ネタ探求

歴史ネタ編目次 http://anime-gineiden.com/page-890

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